Windowsマシンをお手軽PA機器代わりに使う方法
|セミナーとか勉強会やってると、会場によっては音響設備がなくて地声で話さなければいけないことがある。小規模なスペースだと演者によってマイクが必要かどうかも変わるので、お金をかけてまで機器を準備するのも割に合わない。こういうとき 手元のパソコンがお手軽PA機器として使えればいいよね という話。どうにか実現する方法を考えた。むずかしい話じゃないのだけれどあまりやってる人いないと思うので参考まで。
ちなみに「PA」というのはマイク・スピーカーなど音響設備のことだが、ナチスドイツが集会での公衆向け音響設備=「Public Access」を重視したのが由来なんだそうな。
さて、どんな環境が欲しいかまとめると:
- ワイヤレスマイク
- 40人規模くらいのスペースで音がとおるスピーカー
- マイクの音をスピーカーに流す機器
の3つになる。
最初の「ワイヤレスマイク」だが、これはマイクつきのBluetoothヘッドセットを使えばいい。安ければ1,000円以下。どこのご家庭にも5個くらいは転がっていると思う(え…うちだけ?)。今回はバッファローの BSHSBE33 を使ってみた。特に理由はないが、イヤーピースだけのもののほうがビジネスユースに見えるので。
次。スピーカー。PCのイヤホンジャックに刺して音を再生できる、アンプ内蔵のアクティブスピーカーを用意する。デスクトップ用のやつがあればそれを使ってもいい。うちにはちょうど Logitec の LBT-SP100 というのがあったのでこれを流用。
なお、LBT-SP100 は Bluetooth/有線両対応スピーカーだが、ややこしくなるうえ音質も悪くなるのでBluetoothではなく有線で接続する。そもそもなんでこんなへんなものうちにあるんだっけ? と思ったら、一年くらい前にこの記事のテーマと似たような悩みにぶち当たって入手したんだった。腐海だな、うち。
最後。マイクで拾った音をスピーカーでそのまま流す方法。ふつうだったらオーディオミキサーとかアンプとかをかましてあげるんだけど、その役割をPCに果させてみる。
実はこれがかんたんで、Windows には 7 以降「聴く」という機能が搭載されている。
明らかに訳者さえ悩んでる用語なのでよくわかんないかもしれないけど 録音デバイスから聴取した音を再生デバイスにルーティングする 機能なんだな。録音デバイスのプロパティから「聴く」タブを選択して「このデバイスを聴く」にチェックを入れると、スピーカーなど任意の再生デバイスに音を出力できる。PCが簡易ミキサーになっちゃうんだね。
ということで、手順としては以下のようになる:
- PCへBluetoothヘッドセットをペアリング・接続させる
- PCにアクティブスピーカーをつなげる
- Bluetoothヘッドセットの録音デバイスプロパティから「このデバイスを聴く」設定をおこなう
これで、ヘッドセットに話しかけるとスピーカーから声が出るようになると思う。
ね! かんたんでしょ?!
さて、注意点。大型のスピーカーと組み合わせてその前でマイクを使わないこと。ものすごいハウリングが起こります。ダメ、ゼッタイ。もともと小さいPAのないスペース向けのハウツウなんだしね。ここで紹介したくらいのサイズのスピーカーを、ハウらない音量で方向調整しつつ使ってね。長いステレオケーブルでつなげるのもいいかもしれない。5メータークラスのケーブルならふつうのご家庭にも常備されてますよね?
次は思わぬメリット。ふつう、ちゃんとしたPAのある会場で演者の両手を空けて話してもらうためには、襟元につけるピンマイクを使用する。ただ、高いし指向性の調整がむずかしい。だが、Bluetoothヘッドセットは耳につけるだけでふつうに声を拾ってくれるので、ふつうにピンマイクの代わりになる。うれしい。
てなわけでした。
まあ、もとから機材がそろってて「万一必要になった場合に」の話ですよ。イチからそろえる場合はちゃんとしたPA機器か、じゃなければ安い拡声器ですませるべきですな。